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マシュー・ボーンの「白鳥の湖」に思うこと その2 

「白鳥の湖」日本公演の千秋楽からちょうど1ヶ月経ちました。

え、何の話?と思われた方は、その1からお読みいただけると嬉しいです。

★マシュー・ボーンの「白鳥の湖」に思うこと その1

最初の観劇は、9月15日でした。
今でも印象に残っていることを、書き留めておこうと思います。
見どころはたくさんあるんですが、ゴメススワン(ストレンジャー)とマーニー王子に焦点を当てて。
(完全ネタばれ。新鮮な目でDVDや次回?公演を観たいという方はご注意下さい)



◆第1幕、宮殿やオペラハウスやスワンクバー。
スワンズはほとんど登場しません。孤独な王子が人生に絶望していく様子が描かれます。

マーニー王子を初めて観た時、可愛いなぁと思いました(笑)。パッと見はまだ十代の少年のよう(あとで実年齢を知ってビックリした)。
王子は内気で傷つきやすい夢想家。母親の愛を求めても得られず、重圧に押し潰されそうな不安をお酒で紛らわそうとします。
情けないヘタレっぷりですが、マーニー王子は酔っぱらってもノーブル。
純粋すぎて、この世では生きていけないんじゃないかと思わせる、儚くて危うげな佇まい。

スワンクバーを追い出されて路上でソロを踊るシーン、届かない夢をつかもうと懸命に手を伸ばしているように見えて、私の胸の中で切なさが炸裂しました(笑)。
女王様の代わりに抱きしめてあげたい!(爆)。
マーニーの踊りは繊細でしなやかで美しいんです。
この時点で、へタレな王子が愛おしくてたまらなくなってしまいました。

(続く)


◆第2幕、いよいよスワンズ登場。
満月の晩、マーニー王子が絶望して湖に身投げしようとすると、ゴメススワンが現れます。

ゴメスのザ・スワンは、もう何て形容したらいいんでしょうね。
白鳥と言うよりも、魔力を秘めた”火の鳥”、かな。白鳥の群れの中に、火の鳥が一羽混じっている。私にはそんなふうに見えました。

ゴメススワンは集団の中に埋没しないんですね。どこにいるかすぐにわかります。
まず体つきが違う。見事な骨格と鍛え上げられた筋肉。両腕を振り上げて静止するだけで、まわりの空気が変わるんです。
躍動する浅黒い肌に汗が光り、ライトを浴びてキラキラ輝く姿にうっとり見惚れました。神々しいほど美しかった。

古典バレエの場合、男性ダンサーの見せどころはジャンプや回転で、あとは女性のサポートにまわることが多いんですよね。
ゴメスがこんなに踊りまくるのを観られて、ああ眼福。
しかも、ザ・スワンの振付は両性具有的というか、男性的な力強さと女性的な柔らかさ、両方の魅力があります。
片足でバランスをキープしながら長く静止するポーズの美しいこと! ゴメスの驚異的な身体能力の高さがよくわかりますね。
Swan14S.jpg

マーニー王子はひと目でゴメススワンに魅せられ、追いかけて行きます。
王子の表情から、驚きとときめき(!)が観客によく伝わってくるんですよね。
ヘタレな王子が夢中になって追いかけて行く。死のうとしたくらいだから、もう怖いものはないんでしょうか。

他のスワンズは王子を威嚇して近寄らせないのに、ゴメススワンは王子が追いかけて来るのを待っているかのよう。
最初は距離を置いていますが、じわりじわり近づいて、王子の背中にピタッとくっついたり、王子の胸に頭をスリスリしたり。雄々しい外見と違って、愛情深いんですよね~。
王者の風格と、慈愛に満ちた母性。男性性と、女性性。相反するような性質を兼ね備えているところも、ゴメススワンの魅力ですね。

集団の中にあっても抜きん出ているためか孤高に見えるザ・スワンが、孤独な王子と踊ります。
王子はスワンの踊りを真似して、最初は遅れていますが、次第に追いつき、やがて同じ振りを一緒に踊るようになります。
王子とスワンのシンクロが見事! 二つの心が引かれ合い、通い合うのがはっきり感じられるんです。
マーニー王子は喜びを体いっぱいに表し、そんな王子をゴメススワンは慈しむように導きます。

スワンが王子をリフトしたり、逆に王子がスワンをリフトしたりするのも面白い振付ですね(華奢に見えるマーニーがゴメスをちゃんとリフトしてて感動)。男女のペアではあり得ない。男同士のダイナミックかつロマンティックなパ・ド・ドゥ。あぁ麗しい~、うっとり。
観ているほうも、えも言われぬ幸福感に満たされますよね。
ゴメススワンと出会ったマーニー王子の「生きててよかった!」という声が聞こえてくるようで、思わず「よかったねぇ」と涙がこぼれました。(←2幕で早くも感涙)



◆第3幕、王子の花嫁選びの舞踏会。
各国の王女たちはスタイル抜群の美女ぞろいで、みんな気が強そう。誰を選んでもマーニー王子は尻に敷かれそうね(笑)。

そこへ、ストレンジャーが登場。古典バレエでは、悪魔ロットバルトと黒鳥オディールが登場する場面ですね。
プリマバレリーナが白鳥オデットと黒鳥オディールを踊り分けるように、ボーン版でも同じダンサーがザ・スワンとストレンジャー(黒ずくめの衣装)を踊り分けます。
ゴメスのストレンジャー、カッコよかったなぁ。キザでセクシーでしなやかな身のこなし。

王女たちが「私と踊って!踊って!」と次々にやって来るんですが、女性ダンサーがゴメスと踊るのを素で喜んでいるように見えました(笑)。
ゴメスストレンジャーは「はいはい、お次は誰」と、美女との駆け引きを楽しみながら、鉄壁のサポートぶり。

マーニー王子は、ゴメススワンに似ている(ように見える)ストレンジャーが気になってしかたがないんですね。
ドギマギしている王子を挑発するストレンジャー。誘いかけては突き放し、を何度も繰り返して、うぶな王子を翻弄します。
2幕では美少年と大型犬がじゃれ合ってるみたいだったのに(笑)、3幕では気まぐれな飼い主に子犬が追いすがってるみたい(泣)。

ストレンジャーと王子のエロティックなタンゴは、まるで「闇広」! ミュージカル「エリザベート」の有名なシーン、トート(死)と孤独な皇太子ルドルフのデュエット「闇が広がる」を彷彿とさせて、萌えました(笑)。
Swan22S.jpg
ゴメスストレンジャーったら、マーニー王子にエロく足を絡ませてるんですよ。
え、暗くてよく見えない? うふふ、想像してみて下さい。
私がマーニー王子に惹かれるのは、ルドルフを思い出させる部分があるからかもしれないな。

ザ・スワンに出会って生きる気力を取り戻した王子でしたが、ストレンジャーに酷く傷つけられます。ナイーブ過ぎるよね。
スワンに会いたいと願う気持ちが、王子に妄想を起こさせたのでしょうかね。別人のストレンジャーをスワンだと思い込み、裏切られたと勘違いしてしまったのか。

ストレンジャーは王女たちだけでなく女王陛下も、そして男性陣までも魅了してノリノリに踊ります。ゴメス、ほんとカッコいい。
お祭り騒ぎの中、王子の孤独感と絶望感はますます募り、自分で自分を追い込んでしまいます。
狂乱のマーニー王子、服装が乱れ、目がイッちゃってる。観ていて胸が痛くなる。でも、美しい人が狂うさまは絵になりますねー、ゾクゾクするわ(←鬼w)。

王子は、ストレンジャーといちゃつく女王に銃を向けます。
こういう場合、裏切った(と思っている)ストレンジャーに銃を向けるんじゃないの? 王子の母親に対する鬱屈した愛憎が見えるようですね。
母である女王に銃を向け、ストレンジャーにすがりつく王子が痛ましくてしかたありませんでした。



◆第4幕、衝撃的なラスト。
王子は不本意な治療を施され、ベッドに横たわっています。

あのスワンたちが、王子のベッドの下から湧いて出るように不気味に登場します。
これは王子の悪夢なんでしょうか。空想癖があり、いつも夢と現実の狭間に生きているような王子なので、月夜の湖でのことも、舞踏会のことも、現実と妄想が入り混じっているのかもしれませんね。

そして、ベッドの枕をかき分け、ゴメススワンが苦しげに這い出てきます。
その様子がまるで出産のようなんですよね。生まれ落ちた、という感じ。体には生々しい傷痕があり、2幕の堂々たるザ・スワンとは全く違う、疲れ切った様子。とても印象的でした。

霊的な世界にいたザ・スワンが、王子のいる現実の世界へ落ちて来た感じがしたんです。
魔力を失って消耗し、それでも王子を救おうと、王子に寄り添って痛みを分かち合おうとしているように見えました。

ゴメススワンは、すがり付くマーニー王子を優しく受け止めます。母鳥が翼でヒナを護ろうとするように。
この時点で、私の涙腺はゆるみました。
Swan18SS.jpg

ゴメススワンとスワンズの壮絶な闘いが始まります。
2幕のザ・スワンなら圧倒的に強かったことでしょう。でも、今は違います。
たった一羽で集団に立ち向かう彼は、酷く痛めつけられてしまいます。

スワンズは次に王子を攻撃します。取り囲んで突つき殺そうとするスワンズ、野生動物の獰猛さを感じさせる迫力です。
後方のベッドに横たわるゴメススワンが、王子の受ける痛みとシンクロするように悶え苦しむんですね。ううう。
そして力を振り絞って立ち上がり、翼を広げます。この時のゴメススワンの神々しさ!

ゴメススワンはスワンズを蹴散らし、倒れているマーニー王子を起こそうとしますが、王子は動きません。
王子が死んでしまったと思い、スワンは号泣します。(私も涙が落ちました)
その慟哭が聞こえたのでしょうか、マーニー王子は息を吹き返し、ゴメススワンに走り寄って、ひしと抱き合うのです。ううう。

体勢を立て直し、スワンズは更に獰猛に襲い掛かってきます。表情も怖かった。
ゴメススワンはスワンズを威嚇し、マーニー王子のほうを振り向いては大丈夫だよとでも言うように顔をすり寄せ、それを何度も繰り返すんですね。父親と母親の二役やっているかのよう。

ゴメススワンは、マーニー王子を安全な場所に置いて、まるで身を投げ出すようにスワンズの中に飛び込んでいくのです。
そして最後に、王子のほうに手を差し伸べます。優しい微笑みを浮かべながら。
マーニー王子は客席に背を向けていますが、身をよじり髪をかきむしり、狂わんばかりに悲しんでいるのがわかりました。

決着がつき、スワンズが散り散りに去って行きます。
ゴメススワンは、この世から消滅してしまいました。
王子の身代わりに我が身を差し出した、私にはそう見えました。

マーニー王子は泣き叫び(声は聞こえませんが、そういう表情でした)、ゴメススワンを探しますが、何も残っていません。
ザ・スワンのいない世界に、王子はもう何の未練もなかったでしょう。
マーニー王子は虚空を見つめ、ゴメススワンの幻を追うように手を差し出し、微笑みを浮かべます。その表情に、私は胸が張り裂けそうになりました。
そして、ゴメススワンが消えた場所、ベッドの上に倒れ伏すのです。

夜が明けて、女王が様子を見に入ってきますが、マーニー王子は冷たくなっています。
女王は驚き、嘆き、泣きながら王子を抱きしめます。でも、遅すぎました。王子が生きているあいだに、抱きしめてあげて欲しかった。

ベッドの上、高い窓に、ゴメススワンの姿が浮かび上がります。王子を慈しむように抱き上げた姿が。(号泣)



◆カーテンコール
写真撮影可でしたが、私は拍手に専念しました。感激してるとうまく撮れないし、めいっぱい拍手して声援を送るお客も必要だろうと(笑)。

幕が上がると、ゴメススワンとマーニー王子が感無量の面持ちで立っていました。
本編では雄々しかったゴメスが、何だか可愛らしく見えました。小首をかしげたりすると、ほんとに可愛い(笑)。

観客の拍手に応えたあと、二人は熱い抱擁を交わしました。軽くハグする感じじゃなくて、ひしと抱き合ってるんです。
まるで千秋楽みたい、と思いましたが、ゴメスとマーニーは毎回そういう感じだったそうで(笑)。観客もシャッターチャンスとばかりに、カメラを向けてましたね。
ちなみに、他のペアはカーテンコールでハグはしなかったそうです。ゲストのゴメスはスペシャルだったということね。



いやー、ほんとに凄かったわ。スペシャルだった。
もちろん、他のペアも素晴らしいと思います。マーニーはゴメス以外のスワンとも組んで踊っています。
観る人によって、お気に入りのペアは違うでしょうね。全組とも好き!という方もいるでしょう(笑)。

私は、ゴメスとマーニーのペアにハマってしまったんですね。
カンパニーの中では異分子であるゴメスと、見事な演技力で王子の孤独感を表現したマーニー。この二人が演じることで、全く違う世界にいる孤独な二人が巡り会い、心が通い合ったという感動が増幅された気がします。

ゴメスがカンパニーにすっかり馴染んでいるのは、3幕を観ているとよくわかりました。
それでも、皆と同じ衣装で同じ振付で踊れば、マシュー・ボーンスタイルのカンパニーの中で、クラシックバレエ界のプリンシパルであるゴメスが異質であるのは一目瞭然ですよね。
カンパニーのメンバーが踊るザ・スワンは、同質な集団であるスワンズのリーダーに見えました。
ゴメススワンは、前にも書きましたが、白鳥の群れに混じった”火の鳥”に見えたんです。

ゴメススワンもマーニー王子も、それぞれが住む世界では異質で孤独な存在でした。
その両者が出会い、惹かれ合い、愛し合い、違う世界へ共に旅立った。
そういうストーリーに見えたのです。


こうやって書いてみると、何だか暗い話だなと思われるかもしれませんが、笑いもユーモアもあります。楽しいシーンもたくさんありました!
キャストそれぞれに個性があって、小芝居もあちこちにあって、見どころ満載で目が足りないくらい。
でも、好きな人に自然と目が吸い寄せられちゃうんですよね。
やっぱり、ゴメスとマーニーのことばかり観ていたんだなぁ(笑)と、改めて思います。


スペシャルバージョン中のスペシャル、ゴメス&マーニー千秋楽(9月20日)については、その3で。
 
 
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カテゴリ: ダンス

テーマ: ダンス - ジャンル: 学問・文化・芸術

タグ: マルセロ・ゴメス  クリストファー・マーニー 

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