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『君の名前で僕を呼んで』 --私は、この映画と恋におちた-- 

Call Me By Your Name
『君の名前で僕を呼んで』
--私は、この映画と恋におちた--



CMBYN


5月の土曜日、映画館の前でこの看板の写真を撮っていた時、後ろから女性の会話が聞こえてきた。
「どうする?」
「いい映画らしいけど。ちょっと、ね」
「あっちにしようか」
彼女達は別の映画を選んだようだ。その日の気分や好みに合わなかっただけかもしれない。
でも、「ちょっと、ね」という言い方に、侮蔑とか嫌悪とか言うと大げさだが、そんな響きを感じてしまった。

男同士の恋愛なんて気持ち悪い、と言う人は私の回りにもけっこういる。
気持ち悪くはないけど、わざわざそういう映画は観ない、と言う人もいる。
わざわざそういう映画を観に来た私は、BLとかやおいとか特に好きというわけでも嫌いでもない。

舞台芸術が好きで、バレエやダンスの公演をよく観る。
素敵だなぁと思うダンサーは、なぜかゲイの人が多いのだ。
出演情報など探すうちにプライベート情報も入ってきて、あ、この人(男性)には彼氏がいるんだな、と分かることがある。
好きなダンサーに彼氏がいようと彼女がいようと、私の人生には関係がない。
その人が病気や怪我をせずに素晴らしい舞台を見せてくれたら、それだけで嬉しい。
男同士でも女同士でも、当人達が幸せならいいじゃないか。
美男美男のカップルは目の保養だとさえ感じる。美しい人、美しいものが好きだ。


-*-*-*-*-*-


この映画は、まずタイトルが気になった。
恋愛ものはあまり観ないので、もしも『ひと夏の恋』とかだったらスルーしていたかもしれない。
『君の名前で僕を呼んで』。むむむ?どういうこと? 
予告編を観て、これは絶対に観ようと思った。
主人公が美しい! 美少年がピアノを弾いてる!(美少年もピアニストも好きです笑)。

その程度の予備知識で、ティモシー・シャラメという若手俳優を初めてスクリーンで観た。
たちまち、ハートを射抜かれた(笑)。
少女漫画(たとえば萩尾望都先生の作品)から抜け出たような美貌と華奢な体つき。
もう子供ではないがまだ大人になりきっていない年頃の、未分化というか両性具有というか、男と女の間を揺れ動くような危うさと、瑞々しいきらめきに、頭がクラクラした。
そして、その美しい瞳から、唇から、指先から、感情が溢れ出ている!  不安や苛立ちや驚きや喜びや悲しみやもろもろの感情が、彼の中から自然に湧き上がり溢れ出てくるように見えて、心を激しく揺さぶられた。
ラストシーンで、とどめを刺された。
もう一度、彼に会いたい、と思った。

いや、エリオだけじゃない。オリヴァーにもお父さんにもお母さんにもマファルダにも会いたい。
陽光にきらめく水、色鮮やかな果実、風にそよく草原、穏やかな時間が流れるイタリアの鄙びた別荘。
あの映像の中にもう一度、自分も身を置きたい。

それから、あの音楽。何と心地よく耳に響いてきたことか。
エリオが弾くピアノの曲、ラジオから流れるポピュラーソング。
そして、儚げに囁くような歌声。あれは誰が歌ってるの? 恋の歌? パンフレットを見ると、ニューヨーク在住のシンガーソングライター、スフィアン・スティーヴンスが映画のために書き下ろした曲、とある。
サントラを買おう。あの歌の歌詞も知りたい。

それから、エリオのお父さんの言葉。温かく深く胸に沁みた。もう一度聴きたい。英語で何て言ってるのだろう。
エリオとオリヴァーが互いの気持ちを探り合うような会話も、残念ながら聞き取れなかった。
彼らは英語で何て言ってるのだろう? 

それから、映画はほぼ原作どおりだが結末は違う、とパンフレットに書いてある。この映画の続編の構想もあるって?!
何と! あれで終わりじゃなかったんだ!
原作も読まなきゃ。英語と日本語と両方読もう。



サントラを聴き、Webで公開されている脚本(ジェームズ・アイヴォリー 著)を読んだ。
また映画を観に行った。
原作本(アンドレ・アシマン 著)と翻訳本(高岡香 訳)も読んだ。
また映画を観に行った。

1本の映画にここまでハマるなんて、自分でも驚いた。
何がそうさせたのか、よく分からない。
「世界が、この映画と恋におちた」というキャッチコピー風に言えば、「私は、この映画と恋におちた」のかもしれない。
とにかく、もっと知りたいと思った。
知れば知るほど、また観たくなった。
観るたびに、新しい発見があった。

もちろん、1回観るだけでも美しい映画だと思う。
万人受けする内容ではないけれど、映像と音楽の美しさは誰もが認めるだろう。
ティモシー・シャラメが演じるエリオと、アーミー・ハマーが演じるオリヴァーは、誰の目にも魅力的に映るだろう。
父親が息子に語りかける言葉は、多くの人の胸を打つだろう。毎回、あの場面で観客が鼻をすする音が聞こえてきた。



この映画を気に入った方には、2回以上ご覧になることをお勧めしたい。
オリヴァーがエリオのことをどう思っているのか、最初は分からない。それがスリリングでもあり、観客はエリオといっしょに一喜一憂することになる。
二人の恋の行方が分かった上で改めて観ると、今度はオリヴァーの気持ちになってエリオを見ることができる。オリヴァーの明るさや素っ気なさの影に、戸惑いや恐れや葛藤が隠されていたのだと気づく。
どちらの視点で見ても、ティモシーとアーミーの繊細で自然な演技に引き込まれるだろう。

ルカ・グァダニーノ監督は、音楽にも凝るタイプのようだ。
美しいピアノ曲はピアノが得意なエリオの心情を表しているし、ポピュラーソングはその時代を表している。
オリヴァーが好きな80年代のヒット曲「Love My Way」。歌詞の意味が分かると、オリヴァーが思い切り踊りたくなる気持ちも分かると思う。この曲は2つの場面で使われている。
監督が作曲を依頼した、スフィアン・スティーヴンスの書き下ろしの2曲。「Mystery of Love」、「Visions of Gideon」。スフィアンの儚げな少年のような声は、エリオのもうひとつの声なのかもしれない。歌詞がまた切ないのだ。
特にラストシーンの「Visions of Gideon」。エリオのクローズアップにこの歌が重なると、胸が張り裂けそうになる。
実はこの曲のイントロが、本編の重要なシーンでも使われている。それに気づいた時は涙がこみ上げてしまった。映画を2回以上観ないと絶対に気づかないよ。
監督、かなりの凝り性だな(そういうところ好きです笑)。

原作を読んだ上で、映画を見直すのも面白い。
アイヴォリーの脚本はさすがだと思った(私などが言うまでもなく、アカデミー賞脚色賞を受賞)。
原作を大幅に削ったり変更している部分もあれば、オリジナルの部分もある。
オリヴァーのキャラクターは、原作よりも映画のほうが誠実で優しく描かれていると感じた。アーミーが演じているからそう見える、というのもあるかも(笑)。
原作では、オリヴァーとエリオはローマに行く。この章がとても面白くてインパクトが強い。でも映像にするには複雑だろうし、ともすると避暑地での日々の印象が薄れてしまいかねない。
映画での行先はベルガモ。シンプルで力強い場面になっていた。

原作の結末と映画の結末は同じではない。でも、オリヴァーの最後の台詞はどちらも同じなのだ。
"I remember everything."
原作とは全く違うシーンなのに、ぴたりと嵌っていた。思わず唸ってしまった。
字幕では、こう訳されていた。
「何ひとつ忘れない」
これにも唸った。
どの場面も、分かり易く短い言葉、しかも印象に残る言葉が使われていた。
翻訳は松浦美奈さん、素晴らしい字幕だと思う。


-*-*-*-*-*-


グァダニーノ監督は、ティモシーが実年齢と同じ25歳のエリオを演じる続編を計画中だという。
本編は1983年、エリオは17歳だから、続編は8年後、1991年か? フレディ・マーキュリーがAIDSで亡くなった年!
AIDSの恐怖が世界を震撼させた時代、あの二人をどう描くのだろう?
原作にはその頃の記述はない。グァダニーノ監督オリジナルの脚本になるのかな。想像するだけで興奮して(笑)待ちきれない。
本編はかなりカットされていて、未公開映像がたくさんあるらしい。それを続編で使うと監督は言っているそうなのだが、早く!早く見せて下さい!

ティモシーが25歳になるまで、あと3年?2年?
アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた彼は、今や引っ張りだこ。今度はハル王子(ヘンリー五世)を演じるというニュースを聞いたばかりだ。
もう少年ではないんだね。どんな俳優に成長していくのか楽しみでしかたがない。
大人になったエリオに会えるのを、首を長~くして待っているよ。

ティモシーをこの映画で初めて観たせいもあって、時々エリオと混同してしまいそうになる。
ティモシーがコロンビア大学に通っていたと知った時は、オリヴァーが教鞭をとってる大学に行ったんだ!と思ったり(笑)。
初共演で意気投合し今も兄弟のように親しいアーミーとティモシーの仲良し写真をネットで見つけると、よかったねぇエリオ!と嬉しくなっちゃったり(笑)。
映画と現実がごっちゃになる錯覚に、たびたび陥っている。
二人ともほんとに愛おしくて。何だろうね、二人を見守る親戚の叔母さんみたいな感覚かな?(笑)
続編で、成長したティモシーのエリオとアーミーのオリヴァーが再会したら、それだけでもう泣きそうだ。
グァダニーノ監督、きっと実現させて下さいね。お願いしますよ! 待ってますからね!! 

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テストです 

ツイッターばかり使って、もう何年もブログを更新していなかったから、使い方を忘れてしまった。
これで投稿できるのか、ちょっとテスト。

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2013年ありがとう 

今年もいろいろ観に聴きに行きました。
ミュージカルよりコンサートやバレエが多かったかな。
特にバレエは、スペイン国立もベジャールバレエもパリオペラ座もルグリもマラーホフもギエムも来日したんですよねぇ。
他にも重なって観に行けない公演がたくさんあった。いったい東京にどんだけ集中したのかと。
秋の名門オケの来日集中も凄かったな。
観たいものがあり過ぎて、お財布と時間のやりくりが大変な2013年でした。

同じ演目をリピートすることも多いので単純に比較できないんですが、8月が極端に少ない(笑)。
7月の海外旅行の影響かな。あれはほんとに中身の濃~い旅だったから、現実に戻るのに時間がかかったのよね。2013年のメインイベントだった。記録にちゃんと残しておかなくちゃ。
国内遠征は、CHESSコンだけに留めました。

来年はどんな出会いがあるでしょうね。
コンサートや演劇などは、世の中が平和でなければ開催できません。
大きな天災や人災が起きませんように。
海外の人達も安心して来訪できる日本でありますように。

皆さま、良いお年をお迎え下さい。



【2013年月別 劇場通い】

1月
シアタークリエ・フェスティバル「ONE HEART」 シアタークリエ
マテ・カマラス・ライブ 新宿BLAZE
「ブベニチェク・ニューイヤー・ガラ カノン」 オーチャードホール
東京バレエ団「ベジャール・ガラ」 東京文化会館

2月
「ミュージカル・ミーツ・シンフォニー」 サントリーホール
スペイン国立バレエ団 Aプロ オーチャードホール
スペイン国立バレエ団 Bプロ オーチャードホール
「遠い夏のゴッホ」 赤坂ACT
「ロックオペラ モーツァルト」ルージュ 東急シアターオーブ
「ロックオペラ モーツァルト」インディゴ 東急シアターオーブ

3月
ベジャール・バレエ団「ボレロ他」 東京文化会館
スタジオライフ「続11人いる!」 紀伊國屋ホール
ベジャール・バレエ団「ライト」 東京文化会館
「ノートルダム・ド・パリ」 東急シアターオーブ ※リピート有
「I Love Musical」 グローブ座
小澤征爾音楽塾オーケストラプロジェクト 東京文化会館

4月
Kバレエ「第九」 オーチャードホール
「ルグリの新しき世界」Bプロ 五反田ゆうぽうと
「おのれナポレオン」 東京芸術劇場プレイハウス

5月
「SUPER DUETS」 東急シアターオーブ
マテ・カマラス・ライブ 新宿BLAZE
「マラーホフの贈り物ファイナル」Aプロ 東京文化会館
「マラーホフの贈り物ファイナル」Bプロ 東京文化会館

6月
パリ・オペラ座バレエ団「天井桟敷の人々」 東京文化会館 ※リピート有
「ワイルドホーン・メロディーズ」 オーチャードホール
ダニール・トリフォノフ ピアノリサイタル 東京オペラシティ
「4Stars」 青山劇場 ※リピート有

7月
ハンガリー旅行(マテFCツアー、洞窟コンサート)
宝塚雪組「ベルサイユのばら フェルゼン編」 東京宝塚劇場
「ウィーン・ミュージカル・コンサート2」 東急シアターオーブ ※リピート有

8月
「二都物語」 帝国劇場 ※リピート有

9月
ミラノ・スカラ座特別演奏会 東京文化会館
「Next to normal」 シアタークリエ ※リピート有
ミラノ・スカラ座オペラ「ファルスタッフ」 東京文化会館
ミラノ・スカラ座バレエ「ロミオとジュリエット」 東京文化会館

10月
「DREAM, A DREAM」 東急シアターオーブ ※リピート有
こまつ座「イーハトーボの劇列車」 紀伊國屋サザンシアター
マレイ・ペライア ピアノリサイタル さいたま芸劇音楽ホール
チェコ・フィル演奏会 サントリーホール

11月
NODA・MAP「MIWA」 東京芸術劇場プレイハウス
「ショーシャンクの空に」 サンシャイン劇場
ブッフビンダー&ウィーン・フィル サントリーホール
シルヴィ・ギエム「カルメン」 東京文化会館
ネルソンス&バーミンガム市響&ハーン 東京オペラシティ
「レ・ミゼラブル」 帝国劇場
ギエム&カーン「聖なる怪物たち」 五反田ゆうぽうと

12月
「CHESS in Concert」 東京国際フォーラムホールC ※リピート有
ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル 東京オペラシティ
ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル さいたま芸劇音楽ホール
「CHESS in Concert」 梅田芸術劇場メインホール ※リピート有
   

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7月になりました 

たいへんたいへんご無沙汰しています。

夏は私の季節です!(笑)。
諸々の状況も好転しつつある、ということで、ツイッターだけでなく、ブログも更新しよう、という”気”が出てきました。

とりあえず、壁紙を変えました。

明日から旅行に出かけます。写真をたくさん撮ってきますね。では~♪
 

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桜が開花しました 

お久しぶりです。
東京でも桜が咲き始めました。今年も春が巡ってきましたね。

花粉症、ということを除いては、いちおう元気にやっています(笑)。
舞台やコンサートにも出かけています。これは私の栄養源なので、欠乏すると心身に悪影響が出てくるんです。

ブログのほうはなかなか更新できませんが、ツイッターで毎日つぶやいています。
よろしければ、覗いてみて下さいね。

夏草ついろぐ

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